パンフレットや名刺などの印刷物を作るとき、用紙の選択欄に「マット紙」という選択肢があるかと思いますが、どんな紙かご存知でしょうか?
マット紙はサラッとした質感が特徴で、私たちの生活の中で実にさまざまなところで使用されています。
本記事では、マット紙の性質と相性のいい印刷物を紹介するとともに、ほかの用紙との違いや主な用途、厚さ、注意点についても解説します。
マット紙とは?文字の多い印刷物と相性が良い印刷用紙
マット紙は、表面につや消し加工を施している印刷用紙のことで、製造元メーカーや販売元によってはマットコート紙と呼ばれることもあります。
マットな加工により光沢感が抑えられるため、光が反射して目がチカチカすることがなく、文字や読みやすいというメリットがあげられます。
質感がサラッとしていて、落ち着いた雰囲気の印刷物に仕上げたいときに使われることが多いです。
また、表面のつや消し加工はインクが馴染みやすいという性質を持っているため、色の再現性が高く、文字と写真をバランスよく見せたい場合にも最適です。
マット紙とほかの用紙の違い!
印刷用紙にはさまざまな種類がありますが、マット紙意外にも一般によく使われる印刷用紙として、光沢紙やコート紙、普通紙、上質紙などがあります。
ここではマット紙とそのほかの印刷用紙の違いについて解説します。
マット紙と光沢紙の違いは?
マット紙が紙の表面の光沢を抑える加工をしてあるのに対し、光沢紙は表面につや出し加工を施した印刷用紙です。
つまり、マット紙と光沢紙は対極の存在ということになります。
光沢紙はインクにじみが少なく発色がいいため、写真がよく映え、インクジェットプリンターでの印刷にも向いているのが特徴です。
マット紙で写真を印刷すると、落ち着いた味のある写真に仕上がります。
マット紙とコート紙の違いは?
コート紙は、表面に薬品を塗り強い圧をかけてコーティングした光沢のある印刷用紙です。表面がピカピカしているため、主にパンフレットやポスターなどに使われています。
コート紙も、光沢紙と同様につや消し加工のされているマット紙とは真逆の存在ですね。
コート紙はマット紙よりも安価なため、大量に印刷物が必要だけど予算があまりない場合におすすめです。
しかし、コート紙はつや加工が施されているため、文字を書き込むならマット紙の方が適しています。
ちなみに、マット紙と似たような名前のマットコート紙という印刷用紙がありますが、マットコート紙は、コート紙よりも弱い圧で表面をコーティングしており、若干光沢感が抑えられた印刷用紙のことです。
しかし、販売元によってはマット紙のことをマットコート紙としていたり、マットコート紙のことをマット紙としていたりします。
マット紙と普通紙の違いは?
普通紙とは、紙の表面になにも加工をしていない状態の紙のことで、レーザープリンターやインクジェットプリンターで印刷する際によく使われています。
マット紙は表面がサラサラになるように加工されているのに対し、普通紙は表面が未加工なので質感にザラつきがあります。
安価で汎用性が高いのが特徴ですが、発色があまりよくないので写真を印刷するならマット紙の方が向いているでしょう。
また、マット紙はサラッとした質感のため、印刷の仕上がりはマット紙の方が高級感があるものになります。
マット紙と上質紙の違いは?
上質紙は、化学パルプの配合率が100%の印刷用紙で、表面がコーティングされていません。
上質紙は、文字を書くのに適しておりノートや手帳に使われていますが、インクが滲みやすいという性質を持っているため、写真を印刷するならマット紙の方が向いています。
マット紙の厚さは?
一口にマット紙と一言でいっても、厚さにバリエーションがあるのはご存知でしょうか?
マット紙の厚さは、下記の6種類があります。
- 0.07mm(薄手)
- 0.10mm(標準)
- 0.13mm(少し厚手)
- 0.174mm(厚手)
- 0.24mm(かなり厚手)
- 0.30mm(最厚手)
上記は1枚のマット紙の厚さですが、実際には連数のkg(原紙1,000枚の重さ)で表記されていることが多いです。
マット紙の用途は?
マット紙はさまざまな印刷物に使用されていますが、厚さによって用途はバラバラです。
厚さ別の主な用途は下記の通り。カッコ内は連数です。
厚さ | 用途 |
0.07mm(70kg) | 折り込みチラシ、 |
0.10mm(90kg) | パンフレット、ポスター、チラシ |
0.13mm(110kg) | 冊子、社内案内、フライヤー |
0.174mm(135kg) | カタログ、写真集、卓上カレンダー、大型ポスター |
0.24mm(180kg) | ハガキ、名刺 |
0.30mm(220kg) | 名刺、診察券、ショップカード |
マット紙の注意点
マット紙は、レーザープリンターやインクジェットプリンターでの印刷に向いていません。
なぜならマット紙の表面のつや消しコーティングは、プリンターの熱に反応し気泡が発生してしまう場合があるためです。
また、表面のコーティングによってインクが定着しづらいうえ、乾きにくいというデメリットがあります。
マット紙を使って名刺やチラシを作りたいという場合は、家庭のホームプリンターで印刷するよりも、印刷会社に依頼するのがおすすめです。
マット紙を活用しよう!
マット紙は、つや消し加工により高級感を演出できるため、ジュエリーのパンフレットや料亭のお品書きなどに最適です。
パンフレットでは目立たせたいところはマット紙、それ以外は普通紙などと用紙を組み合わせることで、メリハリをつけられます。
マット紙はサラッとした質感のため、味のあるモノクロ写真や、印象に残る名刺にうってつけなのでぜひ活用してみてはいかがでしょうか。