
JPGとPDFは、どちらもパソコンを使って作成したデータの保存に用いられるファイル形式のひとつです。
数あるファイル形式の中でもごく一般的なものなので、日常的に利用している方も多いと思いますが、印刷データとして使用する場合はJPGとPDFのどちらが適しているのでしょうか?
ここではJPGとPDFの違いやメリット、デメリット、どんな時に利用するのがおすすめなのかをまとめてみました。
JPGは静止画の保存に適している圧縮ファイル形式
JPGとは、パソコンなどで作成された静止画像のデジタルデータを圧縮するファイル形式のひとつです。
正確には「Joint Photographic Experts Group(JPEG)」のファイル拡張子で、JPEG形式で保存したファイルは「○○.jpg」となります。
静止画像の保存に適しているだけあって、フルカラーの1,677万色を表現する事ができます。
同じ静止画像の圧縮形式に「PNG」がありますが、圧縮による画質の劣化が起こらないPNGに対し、JPGは一度圧縮すると元には戻せない不可逆圧縮のファイル形式として知られています。
高画質の画像データを保存できるのが強み
JPGのメリットはなんと言っても画像データを高画質で保存できるところです。
1,677万色で表現できるため、多くの色が使われている写真などの画像を保存するのに適しています。
また、圧縮性にも優れており、大容量になりがちな画像データも小さな容量にまとめられるため、デジカメやスマホの撮影画像などにも多用されています。
さらにJPGはほとんどの画像編集ソフトに対応しているため、編集や加工を行いやすいところも利点です。
一度圧縮してしまったデータはもとに戻せないのがJPGの弱点
JPGのデメリットは、一度圧縮したデータを元に戻せないところです。
一度目の圧縮だけなら高画質をキープできますが、リサイズ保存したり、上書き保存したりするたびに画質がどんどん劣化するため、繰り返し編集・保存するのには不向きです。
JPGはたくさんの色を使うデータの保存に適している
JPGは多種多様な色を使用する写真やデザインを保存したい時に適したファイル形式です。
写真プリントをする時はもちろん、画像入りのポスターやチラシなどを印刷するならJPG形式で保存した方がきれいに仕上げる事ができます。
PDFはすべての環境でデータを見ることが出来るファイル形式
PDFとは「Portable Document Format」の略称で、画像や文書などのデータをあらゆる環境下で忠実に再現する事を目的として開発されたファイル形式の事です。
特定の会社が作った専用のファイル形式ではありますが、世界中で活用されていることから、現在では国際標準化機構で管理されているオープンスタンダードの一つに数えられています。
PDFは環境さえ整っていれば誰でも閲覧可能
文書や画像などのデータは使用する環境によって左右されるところが大きく、ソフトウェアやハードウェア、OSによっては閲覧・編集が不可能な場合があります。
一方、PDFは専用リーダーさえ用意すれば、使用環境にかかわらず同じ文書・画像を表示する事が可能。
ファイルの作成・保存には専用ソフトウェアが必要ですが、専用リーダーはネット上で無償配布されていますので、パソコンやスマホがあればどなたでもPDFファイルを閲覧できます。
一部のフォントではレイアウトが崩れてしまう可能性がある
PDFではレイアウトが変わらないよう、保存の時にフォント情報の埋め込みが行われます。
一般的なフォントであれば問題なく埋め込むことができますが、一部のフォントにはPDFに情報を埋め込めないものがあり、そのようなフォントを使用しているとレイアウトが崩れてしまうおそれがあります。
また、閲覧は誰でも出来るものの、編集・加工には有償の専用ソフトが必要になるところが難点です。
PDFは文章データとして利用されることが多い
PDFはJPGに比べて印字がきれいなので、文章の印刷に向いています。
また、使用環境に左右されず、忠実にデータを再現できるので、印刷会社に印刷を依頼する時の入稿データとして活用されるケースも多いようです。
印刷の用途・目的に合わせてファイル形式を使い分けよう
JPGは高画質のまま保存できるので、写真や画像の印刷向け。一方、PDFは字の再現性が高いので文書の印刷に適しています。
どちらも印刷用データとして多用されるファイル形式ですが、それぞれ特徴や性質が異なるので、印刷するデータの内容に合わせて上手に使い分けることをおすすめします。